2019年度

◦成田美術館 

北川コレクション 和刻法帖-にっぽんのてほん

◦台東区立書道博物館 

漢字のなりたちー古代文字の世界ー

集合写真 ~がんこ一徹長屋にて~

代表取締役社長 松井昭光さまもご一緒に

平成30年度研修旅行

 

今年度は記念展の年限定での5年ぶりの企画となる研修宿泊旅行となった。また、書道協會創設以来おそらく初となる【書道三昧】旅行が計画された。行きのバスの道中は6時間。書道の研修旅行で懇親を深めることはもちろん有意義の時間には間違いないが、せっかくの機会だったので20世紀に活躍していた作家の技法が映し出されている映像のDVDを鑑賞しながら奈良へと向かった。主な作家の一覧を下に記す。

 

豊道春海

青山杉雨

赤羽雲庭

上條信山

西川 寧

小林斗盦

梅 舒適

鈴木翠軒

桑原翠邦

上田桑鳩

宇野雪村

井上有一

金子鷗亭

手島右卿

松井如流

安東聖空

日比野五鳳

桑田笹舟

熊谷恒子

飯島春敬…など

 

普段目にすることが出来ない映像に皆、早朝からの旅行であったが、眠気も忘れ、食い入るように映像を目に焼き付けていたのが印象的であった。その技法は多岐に渡り、遅筆で書かれていたり、超速筆で書かれていたり、書く姿勢も各々で非常に勉強になったとの声が止まらなかった。また、この映像を見れただけでも旅行に参加した意義を感じたとの声も出たくらいである。

橿原神宮

橿原神宮は、日本最古の正史ともされる『日本書紀』において、日本建国の地と記されている橿原。

天照大神の血を引く初代天皇・神武天皇と皇后が祀られている神宮。奈良に来訪した最初の場所として挨拶を皆で御参りしました。到着まで台風の影響で雨がずっと降っていましたが、我々を歓迎して下さるかのように晴れ渡った青空日和となりました。

興福寺

710年、平城京遷都とともに藤原不比等によって造営された法相宗の大本山として知られる興福寺。本年1月にリニューアルオープンした「国宝館」。未だ確証はないが、橘逸勢筆と伝わる『興福寺南円堂銅燈(火袋羽目)台銘』を間近で鑑賞するため訪れた。非常に残念なことに写真撮影は当然許可はおりず皆その筆使いを心に刻んできた。また、国宝である人気の阿修羅像なども堪能でき皆満足気な表情を浮かべながらホテルへと向かった。

東大寺

書道としては賢愚経残巻(大聖武)で知られる聖武天皇が建立したお寺。時間が許せば東大寺の宝庫である正倉院に足を運びたかったが今回は書道三昧旅行ということで東大寺に向かう途中の参道にある日下部鳴鶴の碑とその隣にある会津八一の碑を堪能した。もちろん日本が世界に誇る大仏殿で大仏さまに皆手を合わせ、書道興隆や発展の祈願を、御参りさせていただきました。

唐招提寺

来日を果たした鑑真大和上が、東大寺で5年を過ごした後、仏門を学ぶ人たちのための修行の道場を開いたのが「唐律招提」。今回のお目当ては奈良時代の扁額で現在に残っている2枚のうちの1枚である唐招提寺の勅額(寺額)。(もう1枚は東大寺西大門の額)

孝謙天皇の御筆と伝えられているが、講堂または中門に掲げられていたと伝っている。文字は王義之の集王聖教序の書風に倣った行書で書かれているものである。実物は写真撮影許可がおりなかったのでレプリカを掲載してあるが、旅行に参加した方々は数十センチの距離で本物と対峙し鑑賞することが出来たことは眼福を味あわせていただいた。

書道だけにこだわらず芸術を直に生で観るという行為は、その専門分野を趣味とする者でも、特技とする者でも、自身の鑑賞眼を鍛える上では必要不可欠なことであると皆口々に感嘆な声をもらしていた。

がんこ一徹長屋

今回の旅行の目玉企画!

「墨作り・筆作り」鑑賞体験

『書画用品 墨運堂』ご協力の元、墨鑑賞を始め墨作りを体験させていただきました。

『入木筆 博文堂』ご協力の元、筆作りをゼロから完成まで伝統工芸士・川西 俊哉氏による実践を目の前で鑑賞させていただきました。

墨運堂松井社長、博文堂山添社長、奈良筆伝統工芸士川西さまをはじめとする会社関係者全ての方々のご多忙の中、本当に貴重な経験を積ませていただきありがとうございました。

 

株式会社 墨運堂

墨運堂さまのご協力で今回メインとしていた企画が遂に実現しました。現代の書道において墨というと墨汁を指す言葉に変化してきましたが…、濃い時には重厚さを、淡墨の時には立体感を表現を出してくれる固形墨は、書道をする者には必要不可欠の文房でしょう。また、奈良はわが国最初の墨の産地として現代まで伝統技法を受けて継いでいる土地でもあります。

今回は墨の資料館を見学させていただき、墨作りの現場のジオラマや道具の見学をさせていただき、墨作りの工程を説明を踏まえた映像で鑑賞させていただきました。さらに墨の磨り方や水温、水の性質などによっての墨の出方など詳細に教えていただいたことは、旅行に参加した人のみが知り得た貴重な情報であったと思います。

また展示スペースには百選墨、題字墨、変形墨、記念墨、戯墨、彩墨の展示してあり、百選墨に関しては「あの墨は持ってる」や「あの墨だけ手に入らなかった」など皆気持ちを昂ぶらせていました。伊勢神宮に奉納された日本一の巨大金巻墨も展示されており実物を間近に見てあまりの大きさに息を呑むほどであった。

その後、場所を変え墨作りを目の前で職人に実践していただき、今回は握り墨体験を旅行者全員に体験させていただいた。初めて出来たての墨を肌で感触した人たちがほとんどなので墨の温かみ、練の大変さなどこちらも非常に貴重な体験となったことは言うまでもないことでしょう。

株式会社 博文堂本舗

博文堂さまのご協力で今回の目玉企画第2弾と称しても過言でない筆作りを生鑑賞させていただいた。奈良筆は、空海が中国から遣唐使で持参した長鋒の筆の製法を、奈良の橿原市に伝え嵯峨天皇に献上したことは有名である。奈良は、その筆作りの伝統が現代まで続いている日本が誇る筆の産地でしょう。一時は筆の職人も奈良市で数えきれないほどいたというが、現代は今回その手技を披露していただいた川西俊哉氏を含め、奈良市が認定している伝統工芸士は8人だけという現状を聞き、書道をしている我々には非常にショックであった。

さて、筆の製法を鑑賞した後に皆一堂に筆を購入していた。この先、筆の価格の高騰が毛の高騰だけでなく、作り手がいなくなってしまっている現状も加味されて、価格高騰する事実を目の当たりにしたのもあるかもしれないが、今回博文堂さまのご厚意で、はるばる山梨から団体で来てくれたということで、ふだん店舗や外に出していない古い毛で作られている、数年で価格が数倍になるのは間違いないような貴重な筆の販売もしていただけたからである。これには本当に感謝申し上げます。

こうして2日間の旅行は終了した…帰りのバスの話がまだでした。

帰路ではまだまだ【書道三昧】です。帰りのバスの道中ももちろん行きと同じく6時間。書道の研修旅行の名に恥じぬほど書三昧をしていただこうと我が書道協會の前会長、現会長の恩師であられた故・續木湖山先生の技法から教えが映し出されている映像のDVDを鑑賞しながら山梨へと帰ることとなった。また、今井凌雪先生の「墨磨人」も鑑賞させていただいた。

2日目の帰りであるにも関わらず初日同様、眠気も忘れ、食い入るように映像を目に焼き付けていた。かくして書のみを旅行の主とした当に研修旅行という勉強できた大変充実した2日間の旅は無事終了した。最後に安全な旅を過ごさせていただいた南アルプス交通株式会社さまありがとうございました。

 

山梨書道協會

会長 望月大耿

 

山梨書道協會事務局

事務局長 清水暉翠

〒400-0806 

山梨県甲府市善光寺3-5-3-A201